PRVCモードが適応となる状況は?

Q4PRVCモードが適応となる状況は?

 

 PRVCモードではないといけない状況はありませんが、あえて言うのであれば自発呼吸(吸気努力)がある患者にある程度安定して一回換気量を送りたい患者に用いるという状況かと思います。しかし、使用時にはPRVCの特徴・注意点を知っていることが必要です。

 

PRVC(Pressure-Regulated, Volume Control)は量規定換気(VCV)と圧規定換気(PCV)のそれぞれよいところをとった換気モードと紹介されることがあります。これはVCVのように一回換気量を設定する、PCVのように吸気圧の気道内圧上限値が決まっていることや吸気流量は患者の吸気努力に合わせて送られるという特徴です。ですので、自発呼吸(吸気努力)がある患者に一回換気量を確実に送りたいときに、患者と人工呼吸器の同調性が得られやすいということでは使いやすいと思います。

 ただし、知っておくべきこのモードの特徴は、吸気の気道内圧上限値以下の範囲において、“設定された一回換気量を達成するためにできるだけ低い吸気圧になるような吸気流量パターンを呼吸器自体が調整してガスを送る”ということです。

 

 例えば何かの原因(肺炎増悪、胸水貯留、気道狭窄など)により、患者の呼吸努力が強くなっている場合があるとしましょう。努力呼吸が強くなっても吸気流量は患者の吸気努力に合わせてガスを送りますので、患者の吸っている一回換気量は設定された一回換気量よりも多くのなることがあります。この場合、人工呼吸器は先ほどの、“設定された一回換気量を達成するためにできるだけ低い吸気圧になるような吸気流量パターンを呼吸器自体が調整してガスを送る”ことが影響します。人工呼吸器は“お、この患者は一回換気量が多くなっているな。だったら吸気圧を少なくしてもよいだろう”と判断します。そのため吸気努力が強くなって一回換気量が多くなっているにもかかわらず、一回換気量を少なくするように吸気圧を減らしてしまいます。しかし本来はこの患者は努力性呼吸が強くなっているのであるので、サポートを増やして患者の呼吸仕事量を減らさなくてはならない状況です。

 

 このように、呼吸様式が変化したときに本来すべき判断(サポートを増やす)とは逆の対応(サポートを減らす)をしてしまう恐れがあります。これは呼吸パターンが変化したときの1つの例ですが、このようにPRVCは呼吸様式が変化する患者への使用は注意が必要ですので、あえてこのモードを使用しなくてもよいと考えられます。

 

 以上の事から、あえて適応した状態としては、呼吸様式が安定している自発呼吸(吸気努力)がある患者にある程度安定して一回換気量を送りたいという状況での使用は適応かと思いますが、PRVCでなくてはならないという状況ではないかと思われます。

 

 また、それと同時にこのモードの特徴の理解を医師だけではなく、患者のベッドサイドにいる看護師やコメディカルも知っていることで、患者のモニタリング(呼吸器に提示される数値だけではなく患者の呼吸様式など含め)ができる環境が必要と思われます。