全ての人工呼吸患者に対して肺保護戦略を行なうべきですが、ARDSなどの急性呼吸不全患者ではなおさらです。ECMO中の至適な呼吸管理目標というのはまだわかっておりませんが、肺保護換気は基本です。
ECMOセンターの横断研究では、77%でlung rest setting、76%で1回換気量の目標は6 ml/kg以下とされていたようです(PMID: 24983618)。
プラトー圧の上昇は避けなければいけませんが、ECMO中のPEEPについては一定の見解はないようです。ECMOを導入するような患者は重症のARDSなのでhigher PEEPが良い気がしますが、PEEPに反応するかどうか(どれだけ肺胞がリクルートされるか)評価し、余計なPEEPを避けるのが良いでしょう。回答者個人としてはPEEP 10-15 cmH2O程度になることが多いですが、状況によります。
Awake
ECMOと呼ばれるように覚醒させることで鎮静薬の有害事象を回避でき、場合によっては抜管するとVAPなどの合併症も減るかもしれません。また、自発呼吸の方が横隔膜機能障害も減るかもしれません。しかし、覚醒により換気量制限ができず、呼吸仕事量が増え、ECMOのsweep gas流量を調整し、pHや二酸化炭素をコントロールしても、肺傷害のリスクが懸念されるような状況では深鎮静が必要な場合もあります。