IPAP・EPAPの上げ方・下げ方の調整は、基本的に汎用の人工呼吸器と同じように、酸素化・換気・同調性を意識した設定の変更をします。
初期導入の設定についてですが、ガイドラインには『それぞれの圧を増減して患者が楽に呼吸できる至適圧をバイタルサインおよび呼吸状態を評価しながら決定をする』と
記載があります。しかし、どのくらい時間をかけて患者が楽に呼吸できる至適圧を見つけるかは記載がないため、患者の反応をみながら行う他ないかと思います。講義でも説明をしておりますが、導入時は低めの圧から設定し、患者が受け入れをしているかを確認して調整を図ることがポイントです。
注意するべき点としては患者が楽に呼吸できる至適圧を探して調整している時に、患者が苦しいと訴えた場合、圧が高すぎる/足りなさすぎるのか、マスクフィッテングが適正なのか等はその場で見極める必要があります。
IPAP・EPAPに関する身体的な評価として、換気については努力呼吸の改善をベッドサイドで確認したり、患者の1回換気量が増えていたりするのを確認していくことで行い、酸素化はSPO2の上昇を目安にしながら評価を行います。また、身体的な評価だけではなく、通常30分~1時間以内には血液ガスでの評価を行い、IPAP・EPAPの調整を行っていきます。一般的に15-20cmH2Oを超える圧は胃の膨満をきたす可能性があり、注意が必要になります。
【まとめ】
①導入時の換気様式、設定は患者さんに人工呼吸を行う目的によって選定する。
②導入時の至適圧は患者さんの状態をみて楽になる圧を見極めて設定する。
ただし、導入時は低めの圧から設定し、患者の受け入れ状態を確認すること。
③導入後IPAP・EPAPの評価は身体的側面の評価(呼吸仕事量の改善、1回換気量の観察、SPO2等)とし、
血液ガス(通常30分~1時間以内)での評価を行う。
血液ガス(通常30分~1時間以内)での評価を行う。
参考文献
・NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン 改訂第2版 日本呼吸器学会NPPVガイドライン作成委員会